公開情報

2016.05.11 教会堂、今年度内に中瀬原位置に復元か。

石巻市及び市教育委員会はプロジェクトの電話取材に対し、教会堂の復元位置は2011年に被災したときと同じ市有地内に決定したとし、今年度内の復元工事着工を目指したい考えを示しました。一帯の中瀬公園災害復旧工事は2015年(平成27年)7月27日に完了しており、地盤沈下分の嵩上げと人口芝等の表層や遊具等が復旧されています。市教委によれば現在のところ、教会堂の再生地盤はTP+1.7m程度で計画される見込みです。

 

旧北上川の両岸にはTP+4.5m~最大7.2mの河川堤防が築かれます。しかし中瀬自体は、川の交易で栄えた町の情景を継承するため、堤防を持たない唯一の親水公園エリアとして計画されており、外周部をTP+1.2mの護岸で整備するにとどまります。なお、2018年(平成30年)完成予定の新内海橋(一般国道398号)の災害復旧工事は、橋脚の下部工で中断しております。

 

記録者の目

右の地図を参考に見てください。ここで確認しておくことは、中瀬を経由して対岸をつないでいた内海橋は、北に約90m移動して復旧されれば中瀬を通らず、市街地と渡波への嵩上げ国道を直通で結ぶことになります。県によれば機能復旧の目的に従って西内海橋は「歩道」としてできなければならない。一方東側を(仮称)東内海橋と呼ぶ意味合いは、市の予算確保ができたときに初めて施行される「計画」なのであり、被災した橋の解体は必ず実行されることになっています。中瀬南側に橋を架ける案は一時期浮上して消え、より南側で門脇地区と湊地区を結ぶ「鎮守大橋」の計画に踏襲されています。また、中瀬の護岸工事で国交省が復旧完了したのは既存の国管轄部分の復旧であり、私有地は手つかずのままです。この構図では、10年から100年に一度を想定するL1の津波に対して、中瀬一帯は水没を許す場所であることが見えてきます。

 

広域で被災した石巻では、行政との質疑の際に、「ここだけではない」という言葉をよく耳にします。しかし、国・県・市の事業がが重なる場所では、もっと壮大な目でものを見る人が決断しなければいけない計画ではなかったのかと、疑問を抱えています。

 

この地にいかに文化財を再生するのか、行動したあとの行政判断を、淡々と記録します。これが100年後に記録を残す意味だと思うから。

2015.07.17 行政にモノ申す。「再生地は原位置ではない。」

橋の復旧工事中にも将来的にも、中瀬からの脱出手段を絶たれる期間が生じる危険性を指摘しました。「道路の計画は県。中瀬の避難場所は日和山。避難ビルは中瀬にない」と説明する市に対し、「文化財に行けば助かるくらいの斬新な代替機能が必要ではないか」と、ぶつけてきました。部材保存したのだから、文化財の再生を急ぐことはないし、教会堂以外に箱モノはもう建たない。よって、再生地は少なくとも原位置ではない。用地買収に時間がかかっても中瀬全体で最良の場所を選択すべきだと訴えました。

 

記録者の目 性質の異なる萬画館と隣接することは、施設管理者の利便以外、何らメリットを生まないでしょう。音の干渉、工事動線と営業の干渉、ロケーションの潰し合い。中瀬公園を回遊する機会も奪う。だからこそ河口先端側に高さを確保して再生を。避難路の確保を。震災後の荒天時に教会堂に密着した者の感覚です。

2015.06.17 一般国道398号内海橋橋梁災害復旧工事を記録。

県が行う被災した内海橋の機能復旧工事の内容を、市と県と中瀬内の施設管理者に聞き取りしました。中瀬への唯一のアクセス道路が「新内海橋」の名で今より約90m北側に復旧して現在の橋が解体される計画に伴い、中瀬への動線を完全に失うことから、新西内海橋・(仮)新東内海橋が「歩道」として計画され、連結する機能を補完します。

記録者の目 根本的に何かがおかしくはないかと探っています。 

2015.06.17 教会堂跡地、地盤沈下分の嵩上げ復旧開始。

教会堂解体から1年経過。市が行う中瀬公園災害復旧工事に伴い、市有地である解体跡地も、復旧した河川護岸天端レベルTP+1.2mまで嵩上げされ、さらにTP+1.7mまで40~50㎝の余盛が始まりました。教会堂正面の小路がなくなり、これで教会堂がそこにあったことを示すものは姿を消します。

記録者の目 よりよい再生地の行方を求めて、記録活動を再開しました。

2015.06.15 教会堂の保存部材、旧湊二小内に移管。

2014年4月の解体後、再生のために市有地内プレハブ倉庫に仮保管されていた教会堂の保存部材と、将来の解析のためにプロジェクトが保管した現物資料が、修復した旧湊二小校舎内に移管されました。

 

 

2015.03.18 旧ハリストス正教会堂 中瀬に復元決定。

石巻市の亀山市長は3月18日の記者発表で、市の文化財である同教会堂の復元場所を「中瀬」に決定したことを明らかにしました。立地は原位置または周辺で検討される見込みです。教会堂は昨年4月に復元のための解体を完了し、部材は調査のうえ市所有の敷地内倉庫で保管中。市基盤整備課では前日17日に「中瀬公園計画意見交換会」を開催しており、今後は市と教育委員会で具体的な調整に入ると見られます。

2014.09.24 旧北上川左岸左岸不動沢下流地区護岸工事、完了。

中瀬外周部の遊歩道が約60㎝沈下し、荒天や潮位差で冠水被害が出ていた教会堂付近の護岸工事は、国交省河川の管轄で、天端がTP+1.2mに復旧されました。

 

 

第3次アクション

報道公開。部材保存と震災痕跡資料の救出保管を密着記録

2014.02.13の指名競争入札成立により、教会堂解体が現実となりました。文化財保護思想の普及と啓発を目的とする石巻市生涯学習課、解体現場から震災遺構部分を後世に残そうとするPR45、独立した二つの立場で共同して開催します。市・県・教育委員会・業者・市民有志・研究者それぞれの視点。「公共の解」はきっとあるはず。筋書きのないストーリーに挑戦します。

完全外観。解体調査前公開

plan.03#1 完全外観。解体調査前公開 (プレスリリース0217)

 

[報道公開] 2014.02.22 10:00  研究者回 11:00/13:00/14:00
[一般公開] 2014.02.23 10:00/11:00/13:00/14:00
[開催目的] 現状を伝え、存在価値を再認識する。
[公開範囲] 報道・研究者は全館立入可、一般見学者は1階まで可。10人毎随時

[運営協力] 石巻市/阿部和夫氏/石巻観光ボランティア協会/市民有志

 

倒壊の恐れがある教会堂はこれまで、養生シートで部材保護することと引き換えに、外観によって被害を訴えることができずにいた。この養生シートが解体工事用の仮囲いに設置替えする合間のたった二日間、建物の外観が現れるこの日に照準をあてて報道・一般公開の場を設定した。再生文化財と震災遺構は同時に存在しない。解体の日が期限となる「震災遺構で文化財」という沿岸唯一の価値を現存するうちに世に問うために、傾いた危険建物の内部公開に踏み切った。

二つの視点、解体着工公開

plan.03#2 手壊し解体着工公開 (プレスリリース0324)

 

[報道公開] 2014.03.25 15:00-手壊し解体開始 ※雨天決行
[開催目的] 二つの異なる視点から将来的な文化財再生を目指すことの現地説明
       ①石巻市発注業者による文化財再生のための解体工事
       ②PR45が行う震災遺構部分を資料として残す部位の応急保存
[公開方法] 中瀬現地・実作業
[公開範囲] 当日の指定範囲内
[対応体制] 工事監理 ㈱文化財保存計画協会 津村 /企画者 PR45 新藤

 

解体作業は淡々と進む。現場の技術者・技能者共に、津波の痕跡資料を後世にいかに残すか、被災する度に再生された建物の学術的価値をいかに継承するか、その筋書きのない選択と決定の密着記録が始まった。

十字架取外し「解体中公開」

plan.03#3 十字架取外し「解体中公開」 (プレスリリース0405)

 

[報道公開] 2014.04.08 11:00-12:00 ※雨天決行
[開催目的] 二つの異なる視点から将来的な文化財再生を目指すことの現地説明
       ①石巻市発注業者による文化財再生のための解体工事
       ②PR45が行う震災遺構部分を資料として残す部位の応急保存
[公開方法] 対応者/ ㈱文化財保存計画協会 津村/㈱たくみ 高橋/PR45 新藤
[公開範囲] 当日の指定範囲内

 

 解体着工から約1月半。壁撤去作業が構造軸組状態に達し、130年前の部材と保存部を同時に見ることができる工程に差しかかった。これを機に、屋根瓦おろし作業に伴う「十字架取外し」作業を公開した。シンボルを外して教会堂ではなくなる瞬間を、呼びかけに応じた多くの市民が見守った。

運営体制

[運営協力] 石巻市/石巻市教育委員会生涯学習課/元教育長 阿部和夫/石巻観光ボランティア協会/市民有志/

      ㈱文化財保存計画協会 津村 /㈱たくみ

[主  催] 石巻市+国道45号撮影班。PR45   [企画制作] 国道45号撮影班。PR45

第2次アクション

教会堂発。市内10ヶ所の募金箱設置~解体決定まで

plan.03#2 教会堂拠点化計画。

[実施期間] 2012.11.03-11

[実施目的] 石巻市と被災文化財の現状を伝える。(詳細別紙)

 

立入禁止の教会堂本体をを期限付きで募金箱と活動動拠点として有効利用。保存対象は倒壊の危険を伴う危険建物。市と協議の上、管理者1名が常駐し関係者以外立入禁止となる。そこで、ネット環境を有する人々に向けてfacebookでの活動報告を開始、全国と石巻内部と両面の支援を呼びかける。ラジオ石巻 教会堂から生中継!を開始号令に、2つのキャンペーンを展開。生放送では実際の市・担当者が出演した。

被災文化財を救え

plan.03 被災文化財を救え 

旧ハリストス正教会堂保存決定。解体復元へ 2012.08.26 石巻市公式発表。

 

募金協力のお願い(チラシ)

 

発表時点で石巻の復興計画は未定であり、中瀬の緑地公園整備計画の中に教会堂の存在があるか否か、現時点では全くの保留であった。現位置か移転か。その議論と憶測の前に、まだ救えるうちに、教会堂を調査・解体して部材を保護することを要望、同時に解体前に一般公開する機会を作ることを提案した。文化財再生が石巻の財政負担を招くことのないよう、小額でもいい、ポーズに見えてもいい。石巻市民からの募金参加の動きによって全国に意義を訴えかけようと奮闘。その後、教会堂拠点化計画に発展した。

第1次アクション

保存の訴え~保存決定まで

  [コンセプト] 文化財保存

①二度の震災に耐えた、日本最古の木造教会建築を現位置で記録する。②その映像を寄付金活動に役立てる。

 

[開催場所] 石巻市中瀬3-18  旧ハリストス正教会堂  石巻市指定有形文化財

[点灯時間] 日没から約2時間ー20:30迄   [消灯日] 雨天・荒天日、毎週月曜日

再生修復までの限られた年限、教会堂が部材保護のための防護ネットで覆われているこのままの姿を利用せよ。太陽光発電で ①昼は充電インフラを供給 ②夜は環境照明として機能 ③災害時は非常灯に変身する。

 

規制区域で立入禁止となった文化財は、保存を訴えたくとも防護ネットに阻まて存在を薄くする。そこで、教会堂の壁に残された津波到達ラインを外側から投射して、保存を訴えることを考えた。「津波表現」の賛否覚悟で太陽光発電を構築し、1ヶ月のプロジェクトが始まった。  

Light Projection Ceremony

[受付]18:15 [日没]18:45 [点灯]19:00 [消灯]20:30  

映像美術:リチャード・バイヤース

出演:亀田欣昌/鈴木寛子/善戝和也/千葉由里子/ツダユキコ/土生裕/坪内敦/森戸麻里未/yukki(from Coupie)

翻訳協力:菊島美歩/今井ひよこ/岩崎恵美子  撮影協力:宇野浩平/佐野 悟

防災:鈴木亜矢子  企画:新藤典子

  

教会の防護ネットをスクリーンにして、日没から2時間、津波の到達と停滞を現す3本のラインを投射した。それは繊細なマイクロホンが拾う風や水やサイレンや笑い声、中瀬の音に反応して教会を照らした。1ヶ月間設置する「環境照明」の取扱説明書として、パフォーマー達が様々な音を奏でたこの日、大雨の規制区域で行うイベントは、限定した関係者全員の防災訓練と保険加入を必要とした。海外参加のアーティストは、石巻の人々にもっと身近に壮大なアートを感じてもらうことを望んだが、状況がそれを許さない。なぜならこれは、アート活動ではなく、行政協力のもとに行う復興支援活動として計画されたものだから。彼の石巻復興への想いを預かった。 

和泉耕ニ作曲「津波」をその場所で聞く

楽曲『希望』第一曲「それが私の祈りです」/ 第二曲「津波」/第三曲「今ここで」 

内部の被災状況を確認して今後の活動に役立てるための、特別な内部公開と撮影。

 

[受付開始]18:00  [開始]18:15  [演奏]18:30 - 19:00   [消灯] 20:30

[開催場所]石巻市中瀬3-18 旧ハリストス正教会正教会堂  石巻市指定有形文化財

楽曲『希望』より [独唱] 佐藤貴子 [ピアノ伴奏] 和泉真弓 [協力] サルコヤ

映像美術:リチャード・バイヤース   防災:鈴木亜矢子  照明+企画:新藤典子

 

教会堂にピアノを運び込み、中瀬より少し上流の住吉公園で被災した兄の詞に和泉耕二氏が曲をつけた楽曲「津波」で教会堂を内側から光らせる催し。この日、3日間降り続いた雨で石巻市街は冠水し、川は増水して中瀬に避難指示が出た。緊迫感の中でついに中止を宣言したが、少しも残念ではなかった。イベントではなく「この状況を撮る」ことに切り替え、限られた関係者立会いのもと、報道陣と撮影スタッフは公開されることのない記録を残した。教会の保存が決定し、中瀬再建の是非を問うとき、きっとこの日の記録が重要な意味を持つだろう。

5.11 クロージング

5.11 ライトプロジェクション+記録活動  最終日

5.12 太陽光パネル解体

 

[全体コンセプト] 太陽光発電によるライトアップ
①昼は充電インフラを供給 ②夜は環境照明として機能
③災害時は非常灯に変身 ④観光資産の可能性を検証。

 

4.11オープニング、雨天決行。部材保護の防護ネットをスクリーンとして展開するライトアップパフォーマンスは、石巻市・旧建青会・石巻ハリストス正教会・市民有志・報道などの関係者に見守られて幕を開けました。私達はその光が導くご縁で知り合った石巻と支援のために入った多くの皆様と協力して、教会に光を送りました。それは、橋一本で逃げ道をつなぐ地盤沈下した中洲での度重なる悪天候と、唯一のインフラである太陽光との付き合い方に格闘した1ヶ月でもありました。  

5.11の最終日は、蓄電を全て使い切るまで教会を全点灯し、石巻の復興と教会堂の再生を祈ります。中瀬へ足を運んでくださった皆様、ご支援ご協力くださった全ての皆様に、この場を借りて感謝申し上げます。

 

協賛・協力・後援

[協賛] カシオ計算機 ㈱ / 広友ホールディングス ㈱

[協力] 阿部和夫/元石巻建青会/仙台・石巻ハリストス正教会/㈲ 四倉製瓦工業所/コンシェルジュ石巻/

    ㈱ 鈴木印刷所/ヒデマルヤ

[主催] 国道45号撮影班。PR45   [開催協力] 石巻市   [後援] 公益社団法人 宮城県観光連盟   

国道45号撮影班。PR45 公式サイト
国道45号撮影班。PR45 公式サイト